プロテストソング・トピカルソングの傑作集WE SHALL OVERCOME
受験生ブルース
高石友也(曲) 中川五郎


中川五郎
が一気に書き上げた。それは彼が高3だった1967年のこと。日本史の授業をボーッとしながら聞いていたら当時大阪のフォークソング集会で歌われていた、ボブ・ディラン/Bob Dylian ノース・カントリー・ブルースNorth Country Blues を日本語に訳した「炭鉱街のブルース」のメロディーが浮かんできて、それに合わせた歌詞が湧いて来たので、そのとき配られていたプリントに書き始めてスラスラと12番まで書きあげたと言われている。

参照記事 Tap the Pop より

受験生ブルース 高石友也中川五郎ボブ・ディラン/Bob Dylian全曲詩集 で和訳を担当したボブ・ディランの専門家として知られているが、この歌もボブ・ディランがらみだったのだ。

これを聞いた、当時の人気フォーク歌手、高石友也が気に入って、ステージで歌うことになった。ただし、メロディーを明るいムードの曲調に変更して歌った。すると、彼のコンサートで人気曲となり、1968年にレコーディング。3月にリリース。イムジン河などが流行ってフォークブーム全盛の真っ只中だったこともあって90万枚売れる大ヒット。当時の受験生の気持ちがそのまま歌われていたのだろう。

歌詞の内容は、今の受験生にも通じる皮肉のような文で満ちている。このような受験戦争の勝者とはいったいどんな人達なのか。有名大学を卒業した現在のエライ人達は本当に偉いのだろうか。そんなことを考えさせてくれる歌である。

歌の最後に出てくる、予備校のブルースはどうなったのだろうか。また、最後のフェードアウトのところでWe Shall Overcome/勝利を我等に の合唱が聞こえてくるところがニクい。
高石友也 の近年の生歌唱

中川五郎バージョン

受験生ブルース



作詞:中川五郎

おいで皆さん 聞いとくれ
ボクは悲しい受験生
砂をかむよな味気ない
ボクの話しを聞いとくれ

朝は眠いのに起こされて
朝めし食べずに学校へ
一時間目が終ったら
無心に弁当たべるのよ

昼は悲しや公園へ
行けばアベックばっかりで
恋しちゃならない受験生
ヤケのヤンパチ石投げた

夜は悲しや受験生
テレビもたまには見たいもの
深夜映画もがまんして
ラジオ講座を聞いてるよ

「今晩は英文法 
テキストは58ページを開いてください
それではコガラシユウジロウ先生
お願いいたします」


テストが終れば友達に
ぜんぜんあかんと答えとき
相手に優越感与えておいて
後でショックを与えるさ

母ちゃんも俺を激励する
一流の大学入らねば
私しゃ近所の皆様に
あわせる顔がないのよ

*ひと夜ひと夜にひとみごろ
**富士山麓にオウム鳴く 
サインコサイン何になる
俺らにゃ俺らの夢がある

「アドリブを一発」

マージャン狂いの大学生
泥棒やってる大学生
八年も行ってる大学生
どこがいいのか大学生

「結論でございます」

大事な青春むだにして
紙切れ一枚に身をたくす
まるで河原の枯すすき
こんな受験生に誰がした

「フロクもついてるよ」

勉強ちっともしないで
こんな歌ばっかり歌ってるから
来年はきっと歌ってるだろ
予備校のブルースを


*
数学で2のルート、1.41421356 を覚える語呂合わせ
** これも数学で、5のルート、2.2360679を覚える語呂合わせ

中川五郎
スポーツ・フォー・トゥモロー
一台のリヤカーが立ち向かう
1923年福田村の虐殺
風に吹かれて
高石ともや
明日なき世界
学校で何を習ったの

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中川五郎 作詞時の North Country Blues 替え歌


中川五郎 歌唱 2012年
歌詞はいろいろと違っている。


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