プロテストソング・トピカルソングの傑作集We Shall Overcome
It Says Here/記事にはこうある
ビリー・ブラッグ/Billy Bragg

Billy Bragg ビリー・ブラッグ英国の活動家シンガーソングライター、ビリー・ブラッグ/Billy Bragg が1984年に発表した曲。当時のイギリス社会はマーガレット・サッチャー政権下で大きく分断されていた。当時、多くの大衆紙や新聞は保守政権を支持し、労働組合やストライキに批判的な論調を展開していた。ビリー・ブラッグ/Billy Bragg は、そのような新聞報道に強い不信感を抱いていた。

当時、新聞は現在のインターネットやSNSに匹敵するほど大きな影響力を持つ情報媒体であった。しかしながらまともな新聞もそうだが、それら以外に大衆の興味を引いて部数を稼ぐ低俗なタブロイド紙のようなものも一般大衆に大きな影響を与えていた。

そのような主要メディアがこの曲では激しく批判されている。タイトルの "It Says Here" は「新聞記事にこう書かれている」とその内容を述べるときに言われる決まり文句である。

新聞にはこう書かれているけど、その内容は事実とは限らない、むしろ国民にそう思わせるために書かれている可能性がある、記事を鵜呑みにするなというメッセージがひとつ。

もう一つは新聞には政治家のスキャンダル、芸能人のゴシップなどと同じような扱いで社会的に重要な記事、政治的な記事が掲載されていることを問題視している。分かりやすい例として、女性を性的な対象として扱うグラビア記事を掲載しながら、その隣で性犯罪者への厳罰化を訴える新聞の偽善を取り上げている。

それだけに限らず、新聞社の所有者たちの政治的・経済的利益が報道に反映され、その結果として世論が誘導される危険性を指摘している。

このタイトル It says here というフレーズは情報媒体の種類が増えてインターネット中心となった現代でも、ネット記事に対して使われているフレーズで、この歌のメッセージは現代のフェイク情報に惑わされ誤った思考で愚かな行動をしないようにするためにも通じる普遍的なものである。

そして曲の最後では、「どんな話にも別の見方がある」というメッセージが示される。新聞や政府の主張をそのまま受け入れるのではなく、自ら考え、多角的に物事を見ることの大切さを訴えている。

It Says Here
記事にはこうある

作:Billy Bragg

It says here
That the unions will never learn
It says here
That the economy is on the upturn
And it says here
We should be proud that we are free
And our free press reflects our democracy

Those braying voices on the right of the House
Are echoed down the Street of Shame
Where politics mix with bingo and tits
In a money and numbers game
Where they offer you a feature on stockings and suspenders
Next to a call for stiffer penalties for sex offenders

It says here
That this year's prince is born
It says here
Do you ever wish that you were better informed?
And it says here
That we can only stop the rot
With a large dose of law and order
And a touch of the short sharp shock

If this does not reflect your view you should understand
That those who own the papers also own this land
And they'd rather you believed in Coronation Street capers
In the war of circulation, it sells newspapers
Could it be an infringement of the freedom of the press
To print pictures of women in states of undress?

When you wake up to the fact that your paper is Tory
Just remember, there are two sides to every story

注釈
the House: House of Commons, 英国議会
the Street of the Shame: ロンドンの新聞街、Fleet Streetのニックネーム
Coronation Street: イギリスで1960年から続く長寿ドタバタ喜劇テレビシリーズのタイトル



訳詩: 管理人

記事にはこうある
労働組合は決して学ばない、と
記事にはこうある
経済は上向きだ、と
そして記事にはこう書かれている
私たちは自由であることを誇りに思うべきだ、と
そして私たちの自由な報道は民主主義を反映している、と

議会の右派勢力のロバのような声は
「恥の通り」へと響き渡る
そこでは政治がビンゴやお色気記事と混ざり合い、
金と数字のゲームが繰り広げられている
そこでは、ストッキングやガーターベルトの特集記事が掲載され、
その隣には性犯罪者への刑罰強化を求める呼びかけが並んでいる。

記事にはこう書かれている
今年の王子が誕生したと
記事にはこう書かれている
もっと情報を得たいと思ったことはないか?と
そして記事にはこう書かれている
この腐敗を食い止めるには、
法と秩序を大々的に打ち出し、
少しばかりの「短く鋭い衝撃」を与えるしかない、と

もしこれがあなたの見解を反映していないなら、理解すべきだ。
新聞を所有する者たちがこの国も所有しているのだと
そして彼らは、あなたがソープオペラのドタバタ劇を信じることを望んでいる
発行部数争いにおいて、それが新聞を売るのだ
半裸の女性の写真を掲載することは、 報道の自由の侵害になるのだろうか?

自分の読んでいる新聞が保守党寄りだと気づいたとき、
覚えておいてほしい。どんな話にも二面性があるのだ
2011年7月9日 の政治集会でのライブ

オリジナル音源


Billy Bragg/ビリー・ブラッグ
Hundred Year Hunger/飢餓の100年
City of Heroes/英雄たちの都市
There Is Power In A Union/労働組合に力がある
Between the Wars/戦争と戦争の間に
Price of Oil/石油の価格
Last Flight to /アブダビへの最終便