フィル・オクス/Phil Ochsの初期のジャーナリスティックなトピカルソング。彼が1964年に発表したデビューアルバム、All the News that fits to sing(歌うのに適した全てのニュース) に収録されている。
この歌の主人公はメドガー・エヴァース/Medgar Evers という黒人の公民権運動の活動家である。この人が1963年6月12日に自宅前で銃に撃たれ殺された事件について歌っている。
1963年は全米で黒人を中心にアメリカ南部を中心とした地域での黒人差別撤廃を求める公民権運動が盛り上がっているときであった。1955年に起きた14歳のエメット・ティル/Emmett Till 少年殺害事件の調査に尽力することでミシシッピ州での公民権運動がのリーダー的な存在となっていた。
エメット・ティル/Emmett Tillは黒人差別の撤廃が進んでいたイリノイ州のシカゴからミシシッピー州の親類を訪れてきていたが、ある日、白人女性に向かって口笛を吹いたことに対して彼女の夫が怒って少年に残忍なリンチを加えた上で殺害した。
この事件は全米で注目された。ミシシッピー州は犯人をかばう立場で犯人を無罪としたが、数カ月後には罪を認めるに至った。この事件によって公民権運動が大きく前進した。
1963年5月には初めて黒人学生を大学に入学させる戦いに勝利し、そのときに彼が行った声明朗読がテレビで放送されたことで彼の顔が全米に公開された。
その後、彼の家に放火する者が現れた。6月11日にケネディ大統領が公民権についての演説を行ったが、その翌日の夜、家の側で待ち伏せしていた男に銃に撃たれて死んだ。犯人は逮捕されたが、有罪判決が下ったのはなんと31年後の1994年であった。
フィル・オクス/Phil Ochsはこの事件の流れをニュースのような歌詞にし、このようなことが二度と起こらせないようにしようと訴えている。
この曲がいつ完成したかは定かではないが、その年のニューポート・フォーク・フェスティバルで、メドガー・エヴァース/Medgar Evers の死から1ヶ月半後の7月28日に聴衆の前で歌った。
ちなみにケネディ大統領はこの年の11月に暗殺される。そして翌年、ジョンソン大統領の元で公民権法が可決される。メドガー・エヴァースは地域の公民権運動リーダーとして、もう少し長く生きていれば運動の成果を喜ぶできただろうに、とても残念だ。
このような気持ちも歌詞には込められている。
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Too Many Martyrs(The Ballad of Medgar Evers)
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作:Phil Ochs In the state of Mississippi many years ago A boy of 14 years got a taste of Southern law He saw his friend a hanging and his color was his crime And the blood upon his jacket left a brand upon his mind *Too many martyrs and too many death Too many lies too many empty words were said Too many times for too many angry men Oh let it never be again His name was Medgar Evers and he walked his road alone Like Emmett Till and thousands more whose names we'll never know They tried to burn his home and they beat him to the ground But deep inside they both knew what it took to bring him down Repeat * The killer waited by his home hidden by the night As Evers stepped out from his car into the rifle sight He slowly squeezed the trigger, the bullet left his side It struck the heart of every man when Evers fell and died Repeat * And they laid him in his grave while the bugle sounded clear Laid him in his grave when the victory was near While we waited for the future for freedom through the land The country gained a killer and the country lost a man Repeat * |
訳詩: 管理人 ミシシッピー州で何年も前に 14歳の少年が南部の法律に触れた 彼は彼の友達が吊るされるのを見た、肌の色が罪だった そして彼のジャケットの血が彼の心に焼き付いた *多過ぎる殉教者、多過ぎる死 多過ぎる嘘や空っぽの言葉が言われた 多すぎる怒れる人々が出るほどとてもたくさん ああ、そんなことは二度と起こらせない 彼の名前はメドガー・エヴァース、独自の道を歩いていた エメット・ティルと名も知れぬ数千人以上の人々のように 奴らは彼の家を焼こうとし、彼を倒れるまで殴った しかし、彼らはこのことで支払う代償を心のなかでは知っていた *くりかえし 殺し屋は夜間に彼の家の側で夜の闇に隠れて待った エヴァースが車から出てライフルの標準に入ったとき 奴はゆっくりと引き金を引き、弾は奴の元を離れ エヴァースはが倒れて死んだとき、弾は全ての人の心を撃った *くりかえし 彼の体が墓の中に横たわり、ラッパの音が響く 勝利が間近だったときに墓に眠った 全土に自由な未来が来るのを待ちながら 国家は殺人者を得、一人の男を失った *くりかえし |
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フィル・オクス/Phil Ochs のプロテストソング I Ain't Marching Any More The War Is Over White Boots Marching in a Yellow Land Outside of a Small Circle of Friends No Christmas in Kentucky 差別がテーマのプロテストソング |