プロテストソング・トピカルソングの傑作集We Shall Overcome
City of Heroes/英雄たちの都市
ビリー・ブラッグ/Billy Bragg

Billy Bragg ビリー・ブラッグ現在のプロテスト・シンガーと言えば最初に思い浮かぶ歌手は、ビリー・ブラッグ/Billy Bragg である。イスラエルに対するパレスチナ人の抵抗を歌った Hundred Year Hunger/飢餓の百年 に続いて、アメリカ合衆国政府による行き過ぎた不法移民対策で移民・関税執行局(ICE:United States Immigration and Customs Enforcement)が行った銃殺事件に抗議し、事件が起きたミネアポリス市の人々に寄り添って称える曲を真っ先に発表した。

2026年1月、ミネソタ州、ミネアポリス市ではICEや国境警備隊による3件の発砲事件が相次ぎ、レネー・グッド/Renee Goodアレックス・プレッティ/Alex Pretti という市民が相次いで射殺された。 他に一人のベネズエラ人男性も脚を銃撃されたが命は取り留めた。最初の発砲銃殺をきっかけに、数千人規模の抗議デモがミネソタ州内外に広がり、ICEの活動停止や制度改革を求める声が一気に高まった。

この「City of Heroes」は、まさにこの状況に呼応して書かれた“緊急のプロテスト・ソング”であり、ICEの占拠状態に置かれたミネアポリス市民への連帯を示す作品である。連邦法執行官による暴力に立ち向かう市民を“ヒーロー”として描き、犠牲者の名を刻むことで、抗議運動の正当性と緊迫感を音楽として可視化した。

歌詞の最初にはマルティン・ニーメラーというドイツの反ナチス運動家の名前と彼の言葉を題材に作られた詞の内容が登場する。これはこの事件に限らず、自分とは関係ないといって周囲の理不尽から目を背けていると、自分がその被害を受ける立場になったときも誰も助けてくれないという教訓が込められたものだ。歌詞の下に掲載させていただいた。

この曲は、暴力に晒されながらも声を上げ続ける市民の姿を象徴し、ミネアポリスで起きた一連の事件と抗議運動を国際的に伝える役割を果たしている。

アレックス・プレッティ/Alex Pretti が殺害されたのが2026年1月24日で、この曲の音源がユーチューブにアップされたのはわずか5日後の1月29日である。さすがのスピード、大御所プロテスト・シンガー、まさに面目躍如である。(このページはこの時から書こうと思いつつ、一か月半以上経ってしまった。遅いねぇ。) この数日後にはブルース・スプリングスティーン/Bruce Springsteen もこの問題を取り上げた ミネアポリス街 という曲をリリースした。

City of Heroes
英雄たちの都市

作:Billy Bragg

The ghost of Martin Niemöller
Haunts the halls of history
When they came for the communists
He said “It's nothing to do with me”

When they came for the democrats
He had nothing to say
And when they came for the Jews
He just looked the other way

His silence didn't save him
When they came for him as well
There was no one to speak out for him
Resistance had been quelled

What excuses would you tell yourself
If this ever happened to you?
Well I live in a city of heroes
I know what I would do

When they came for the immigrants
I got in their face
When they came for the refugees
I got in their face
When they came for the five-year-olds
I got in their face
When they came to my neighbourhood
I just got in their face

They use tear gas and pepper spray
Against our whistles and our phones
But in this city of heroes
We will protect our home

When they dragged people from their cars
I got in their face
When they took families from their homes
I got in their face
When they murdered our sister
I got in their face
When they murdered our brother
I still got in their face

In Dachau Martin Niemöller
Suffered for his complicity
But in this city of heroes
We learn the lessons of history

I will bear witness to terror
I will bear witness to tyranny
I will bear witness to murder
I will bear witness to fascism

POEM Inspired by Martin Niemöller

First they came for the socialists,
and I did not speak out
— because I was not a socialist.

Then they came for the trade unionists,
and I did not speak out
— because I was not a trade unionist.

Then they came for the Jews,
and I did not speak out
—because I was not a Jew.

Then they came for me
— and there was no one left to speak for me.
訳詩: 管理人(DeepL)

マルティン・ニーメラーの亡霊は
歴史の廊下をさまよう
彼らが共産主義者を捕らえに来たとき
彼は言った「自分には関係ない」

彼らが民主主義者たちを捕らえに来たとき 彼は何も言わなかった
そして彼らがユダヤ人たちを捕らえに来たとき
彼はただ目を背けた

彼の沈黙は彼を救わなかった
彼もまた連行されたとき 彼
のために声を上げる者は誰もいなかった
抵抗は鎮圧されていた

もし自分にこんなことが起きたら、
どんな言い訳をするだろう?
まあ、僕は英雄たちの都市に住んでいるから、
自分がどうするかは分かっている

彼らが移民を捕まえに来たとき
私は立ち向かった
彼らが難民を捕まえに来たとき
私は立ち向かった
彼らが5歳の子供たちを捕まえに来たとき
私は立ち向かった
彼らが私の住む地域にやって来たとき
私はただ立ち向かった

彼らは催涙ガスやペッパースプレーを
私たちの笛や携帯電話に向けて放つ
だが、この英雄たちの都市で
私たちは自分たちの家を守る

彼らが人々を車から引きずり出したとき
私は彼らに立ち向かった
彼らが家族を家から連れ去ったとき
私は彼らに立ち向かった
彼らが私たちの姉を殺害したとき
私は彼らに立ち向かった
彼らが私たちの兄を殺害したとき
それでも私は彼らに立ち向かった

ダッハウで、マルティン・ニーメラーは
加担した罪により苦しんだ
しかし、この英雄たちの都市で
私たちは歴史の教訓を学ぶ

私は恐怖を証言する
私は専制を証言する
私は殺人を証言する
私はファシズムを証言する

マルティン・ニーメラー由来の詩

まず彼らは社会主義者たちを標的にした、
しかし私は声を上げなかった
―なぜなら、私は社会主義者ではなかったからだ。

それから彼らは労働組合員を捕らえに来た、
しかし私は声を上げなかった、
―私は労働組合員ではなかったからだ。

それから彼らはユダヤ人を捕らえに来た、
しかし私は声を上げなかった、
―私はユダヤ人ではなかったからだ。

次に、彼らは私を捕らえに来た。
— しかし、私のために声を上げる者は、もう誰も残っていなかった。
公式音源

Billy Bragg/ビリー・ブラッグ
City of Heroes/英雄たちの都市
Hundred Years of Hunger/飢餓の100年
There Is Power In A Union/労働組合に力がある
Between the Wars/戦争と戦争の間に
Price of Oil/石油の価格
Last Flight to /アブダビへの最終便