韓国の女性シンガーソングライター、イ・ラン/이랑 の第3集アルバムのタイトル曲。このアルバムは2022年3月に韓国大衆音楽大賞にて 「今年のアルバム」と 「最優秀フォークアルバム」に選ばれた。
地域の民衆抗争の記念式典にて主催者がこの「늑대가 나타났다/オオカミが現れた」を締めくくりの曲として歌ってもらおうとしたが、韓国政府の行政安全部が歌詞を問題にし、この曲を歌ってはならないこととなって、出演自体を取り止めにしたという事件で話題になり、管理人も知ることとなった。
問題になった歌詞は冒頭から衝撃的だ。 死んだ子供を抱えた貧民街の女性から始まる歌詞を、最初にセリフのように言ってから演奏を始める。 貧富の格差問題を貧しい人の目線で歌っている。バックに十数人のコーラスを従えているが、彼らは歌うのではなく、オオカミ、暴徒、異端が現れたと、歌詞に呼応して叫ぶのだ。 異様な雰囲気の中で最後まで歌われる。 お金持ちだって、貧しい人が多い状況で幸せに暮らせると思うなよ、という怨念を発散しているように感じる歌だ。この歌を作者は、デモで一緒に歌えるような曲にしたかったと言っている。バックコーラスの叫びはまさに、デモ群衆が叫ぶためのものなのだ。
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当時、韓国では現職のユン・ソンニョル/윤석열 大統領が毎週末、国民達による大規模な抗議デモに遭っていた。 この状況下でこの歌を歌わせなかったことにより、国民の反政府感情はより高まったと考えられる。
4人の女性ダンサー達によるダンスMV