プロテストソング・トピカルソングの傑作集WE SHALL OVERCOME
自衛隊に入ろう
作詞:高田渡

2015年10月、日本政府は憲法9条の解釈を変えて集団的自衛権を行使できるようにする安全保障法案を、国会の議場が混乱している間に強行に可決してしまった。これによって自衛隊が他国の戦争に兵力として参戦することができるようになった。

「自衛隊に入ろう」は日本のプロテストソング歌手としてもっとも有名な一人である高田渡の自作曲。

1968年6月にテレビのワイドショーで放送されたのがきっかけで人気曲となり、皮肉にも防衛庁が自衛隊のPRソングにしたいと申し出たこともあった。

当時の高田渡本人のコメント。
「要するに逆説で何かを言ってみたいというのがあったんです。ちょうどその頃、自衛隊がそこいら中で募集をしてましたでしょ。非常に(あの手この手で)募集してましたよね、ボーナスが3回とか。だから学校へ行けないようなひとはもう本当にふっと行っちゃうんじゃないかって。本当に何人かいたけどね。と思って、で、むこうの(宣伝)文句をそっくりひっくり返した。やっぱり変でしょう、どう考えても。そう(いう意図で)やったんだけど、それをまたひっくり返してまともに取っちゃうひともいてね、防衛庁のひとなんかがそうだったけどね・・・・・。」
出典:パロディか、はたまたPRなのか

今、日本では安保法案の可決により自衛隊を除隊する人が増えているという。その埋め合わせとしてか、高校、大学の卒業生を対象に自衛隊に入隊体験させる案や、大学生のインターン制度を作る案などが現在の自民党政権で議論されている。まさに国を挙げて「自衛隊に入ろう」とキャンペーンをしているに等しい。自衛隊の宣伝ばかりの広告電車も走らせた。

自衛隊への入隊により大学の教育や資格取得を保証する制度が、学費が払えない低所得者の子供たちを「自らの意思で」入隊させる、経済的徴兵制度につながるものとして多くの市民が反対している。

「自衛隊に入ろう」の作曲者はマルビナ・レイノルズ/Malvina Raynoldsというアメリカのプロテストソングの重鎮女性歌手の「I Want To Go To Andorra/アンドーラに行きたい」という詩に曲を付けたピート・シーガー/Pete Seeger。この歌は軍事費に4ドル90セントしかかけていないヨーロッパのフランスとスペインに挟まれた平和的な国のことを歌った反戦歌である。高田渡は替え歌を作って歌ったということである。。

2011年には福島第一原子力発電所の事故を受けて後にヒポポフォークゲリラと名乗る、ミステリアスでユーモラスな覆面バンドによる「東電に入ろう」という更なる替え歌も登場して話題になった。


自衛隊に入ろう

作詞:高田渡

みなさん方の中に
自衛隊に入りたい人はいませんか
ひと旗揚げたい人はいませんか 
自衛隊じゃ人材求めてます

*
自衛隊に入ろう入ろう入ろう
自衛隊に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな
自衛隊に入って花と散る


スポーツやりたい人いたら 
いつでも自衛隊におこし下さい
槍でも鉄砲でも何でもありますよ 
とにかく体が基本です
* くりかえし

鉄砲や戦車や飛行機に
興味を持っている方は
いつでも自衛隊にお越しください
手とり足とり教えます
* くりかえし

日本の平和を守るためにゃ
鉄砲やロケットがいりますよ
アメリカさんにも手伝ってもらい
悪いソ連や中国をやっつけましょう
* くりかえし

自衛隊じゃ人材求めてます
年令学歴は問いません
祖国のためならどこまでも 
素直な人を求めます
* くりかえし

 

替え歌 東電に入ろう 

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Malvina Raynolds とPete Seeger 共作のAndorra

東電に入ろう


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