「令和の中島みゆき」との異名を持つうぴ子が自殺する若者をテーマにして作った曲。
毎年、9月1日に自殺者が多発する。内閣府作成「平成27年度自殺対策白書」の18歳以下の自殺者における過去約40年間の日別自殺者数をみればわかる。(YAHOOニュース)それは言うまでもなく夏休みが終わって再び登校することが精神的な負担になる子供たちが多いからである。これはしばしば電車への飛び込み自殺として現れるが、鉄道会社は大人達の場合と同様にただの「人身事故」として扱い、処理する。 この歌はウピ子自身が実際に小田急線に乗っているときに人身事故で停車したときに作ったそうだ。
このように朝に限らず電車が人身事故のために停まることがよくあるが、乗客は自分の通勤、通学やその日のスケジュールに異常が生じ、遅刻の可能性が出てくることで不安になるであろう。
だが、何度もこのようなことが繰り返されると慣れてしまい、「なんだ、またかよ」と、ただの「よくあること」の一つになって、どこの誰が自殺しようとしたのかなんて考えない。
その大きな理由は、電車内での放送で「人身事故」という一言で説明されてしまうからだ。 普段、子供たちやあまり考えていない大人にはそれが自殺とは結びつかないことだろう。 管理人も大人になるまでそうだった。
今の電車通学中の中高生はどのくらい意識を持ってこのアナウンスを聞いているのだろうか。
この歌は自死を選んだその子の学校での環境にまで想像を巡らした歌詞の内容になっている。
タイトルの「喉を焼く」とはどのような意味か調べてみると、ある地方の方言で痛い喉に直に喉の薬、ルゴール液を塗ることのようだ。だが、歌詞の中の使われ方を見ると、どうも、心が苦しくなるような意味で使っているように思える。もし、痛い喉を癒やす意味だとしたら、言いたい言葉を言えずに心に閉まったままで苦しみ続けているとも取れるだろう。
この若い詩人の具体的な表現は聞く者の心を揺さぶる。
喉を焼く |
|
---|---|
作詞:うぴ子 小田急線にて人身事故のため 運転見合わせております。 満員電車がざわつく9月の朝 「最悪、遅刻じゃん」 「死ぬなら一人で死ねよ」 「くそ迷惑」 あの中に一体彼女の死を想った人が どれくらい居ただろうか なんの迷いもなく線路に飛び込んだ 少女を目の前にした 少年は腰抜かしホームに座り込んで泣いた 震えた文字で書かれた遺書が あの世行きの切符になったんだ 何千回も心で叫んだ 「誰か助けてください」 言えない言葉が喉を焼く 机上に置かれた花瓶と花 後ろでクスクスと笑う声 何かが音を立てて崩れていく 大人が言う「世界は広いから」 その「世界」を知らない私は 「教室」こそが世界の全てだった 暗い部屋 冷めた夕食 目に入るもの一つ一つ全てに 生きてることを責め立てられてる気がした 漠然とし過ぎた将来に 希望なんて持てないよ 鉛筆を置いてつぶやいた 「お母さんごめんなさい」 放った言葉で喉を焼く 彼女は今どこで何を思っているだろうか 窓越しから馬鹿みたいに 晴れた空を見ていたんだ 生きている 生きている 私はここで息をしている 生きてく生きてく それでも私は生きてゆく 届かぬ想いが喉を焼く |
|
ギター一本の弾き語り |