プロテストソング・トピカルソングの傑作集We Shall Overcome
One (Hu)man One Vote/一人(間)一票
Johnny Clegg & Savuka/ジョニー・クレッグ&サヴーカ

Cruel Crazy Beautiful World Johnny Clegg & SavukaJohnny Clegg/ジョニー・クレッグ(1953〜2019)は南アフリカの白人ミュージシャンで、悪名高い人種隔離政策、アパルトヘイト/Apartheid を廃止させる活動家でもあり、そのような曲を多数世に送り出した。 この曲は1989年にリリースされた アルバム、Cruel, Crazy Beautiful World の一曲目に収録されている。

南アフリカ共和国では1948年に確立したアパルトヘイト制度の下で黒人には人権が与えられず、国家的に人口の2割を占める白人が、7割を占める黒人と、その他の有色人種を支配した。 黒人には参政権もなかった。 日本では参政権がないのは収監されている犯罪人と在日外国人くらいだ。 南アフリカでは黒人は国民、いや、人間とすら見なされていなかったのである。 この曲のタイトルが man ではなく、(Hu)man となっているのはそのような意味ではないかと思う。

この制度は黒人たちの戦いの末に1991年に終焉を迎えた。1994年に初の民主的な選挙で大統領となったネルソン・マンデラ/Nelson Mandela は反アパルトヘイト運動の指導者で、27年もの長い期間を監獄で過ごした人だった。

アパルトヘイト終焉の2年前にこの曲は発表されたのだが、ジョニー・クレッグを含めて世界のミュージシャンたちがアパルトヘイトに抗議する活動を繰り広げたことも大きな役割を果たしたと言える。 スティービー・ワンダー/Stevie Wonder も1984年に It's Wrong/イッツ・ロング という曲で批判した。ポピュラーソングが政治に大きな役割を果たしたものとして記録されている。

しかしながら、ジョニー・クレッグ自身は南アフリカの支配者、白人の立場でありながらアパルトヘイト反対の運動に献身したのである。 国際的な連帯の中で色々と誤解を受け、悩み、苦しみながらの活動であったようだ。

南アフリカアパルトヘイトは特殊なケースかも知れないが、現在のどの民主主義国家でも、権利は上から与えられたものではない。民衆が勝ち取った物だし、選挙権もそうだ。 日本だって全国民に選挙権が与えられたのは1945年である。太平洋戦争が終戦するまで選挙権を持つのは25歳以上の男だけだったのだ。 日本ではどんな選挙でもたいていは投票率が半分そこそこだ。 せっかく勝ち取ってきた選挙権を無駄にするのは先祖に失礼ではないだろうか。 特に18歳から投票できるようになったのだから、もっと多くの若者達が自分たちの明るい未来のために選挙に参加するべきだろう。

ミュージックビデオ

One (Hu)man One Vote/一人(間)一票

作:Johnny Clegg

+Bayeza abafana bancane wema
Bayeza abafana bancane wema
Baphethe iqwasha, baphethe ibazooka
Bathi "Sangena savuma thina
Lapha abazange bengena abazali bethu
Nabadala, bayasikhalela thina ngoba asina voti."


The west is sleeping in a fragile freedom
Forgotten is the price that was paid
Ten thousand years of marching through a veil of tears
To break a few links in these chains
These things come to us by way of much pain
Don't let us slip back into the dark

++On a visible but distant shore
A new image of man
The shape of his own future,
Now in his own hands
He says:

+++One 'man, one vote -- step into the future
One 'man, one vote -- in a unitary state
One 'man, one vote -- tell them when you see them
One 'man, one vote -- it's the only way

Bayeza abafana abancane
(The young boys are coming)

Hayiyaah!

In the east a giant is awakening
And in the south we feel the rising tide
The soul inside the spark that gives breath to your life
Can no longer be made to hide
These things come to us by way of much pain
Don't let us slip back into the dark

Repeat ++、+++、+、++

Yeah, easy, believe me
It'll only be a memory you’re trying to remember to forget

訳詩:管理人

+若い男たちがやって来ている
若い男たちがやって来ている
彼らは手製の武器とバズーカを作った
ここに入ることに同意してきたという
これまで僕らの親や先祖たちが一度も入ることなかった
だから彼らは私たちのために声を上げている、
私達には投票権が無いのだから

西側が壊れやすい自由の中で眠っている
忘れ去られている支払われた犠牲
1万年の涙のベールを抜ける行進の末に
いくつかの鎖の輪を壊した
これらは大きな痛みと共に私たちに引き継がれた
暗闇の方へ逆戻りさせないでくれ

++遠いけどどうにか見える岸へ
新しい人のイメージ
自分の未来の形、
自分自身の手の中で
彼は言う

+++一人に一票〜未来へと踏み出す
一人に一票〜一つの政府の中で
一人に一票〜彼らに会ったら言ってくれ
一人に一票〜それが唯一の方法

若い男たちがやって来ている




東では巨人が目覚めている
南からは立ち上る潮流を感じる
君の命に息を吹き込む火花の中の魂は
もはや隠せなくなった
これらは大きな痛みを乗り越えて私たちの下へ来た
暗闇の方へ戻らせないでくれ

++、+++、+、++ くりかえし

簡単だ、僕を信じて
忘れたいと思い続ける記憶になるだけ
  
 貴重なライブ映像

反アパルトヘイト曲
It's Wrong/イッツ・ロング スティービー・ワンダー/Stevie Wonder